大沼湖/北海道

仕事の鬼、北の大地へ〜函館大沼湖〜

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雄大な景色の中でカヌーを漕ぐ営業の男。

その男の姿を撮影するもう一人の男は僕だ。


この二人、実はこれでも仕事中。

なぜ看板屋の営業とデザインの人間が、こんな北の大地でカヌーを漕いでいるのか?

もう時効だろうから解禁してしまおう。

北の大地、二人の男の禁断の仕事風景。

汗水流して頑張って仕事をする二人の姿を、ここに記録としてしっかり残しておこう。


はっきり言って「番外編」的な気持ちで向きあって欲しい。

実にくだらない内容になってます。

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しばらく四国特集が続いたが、今回の「あん時のアイツ」シリーズ第11弾は一気に北上する。

時は2007年、9月。


僕が以前勤めていた会社で、最後の仕事として行ったある物件の現場調査の仕事。

最後の仕事というのも、僕が養子として岐阜県に嫁ぐ事になったからだ。


共に函館に行ったのは営業の中州(仮名)さん。

中州さんとは日本各地に共に仕事で赴き、各地の夜の町の現場調査を共にした、言わば戦友。

博多の中州での中州さんの武勇伝を沢山書きたいところだが、全く別ジャンルになるからここでは触れないでおこう。


さて、僕の最後の仕事とあって、中須さんも気を使ってくれたのか少しばかり日程に余裕のある段取り。

思いがけずなのか、意図的なのか。

函館での長い仕事が始まった。


我々が向かった現場は海だった。

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美しい景色を見ながら営業は携帯でスケジュールを管理し、デザイナーは煙草をふかしてプランを練る。


そして「どちらがより荒野でさすらってる感が出ているか?」の現場テストに入った。

二人はお互いにポーズを決め、写真に収まる。

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さすがにお互い良い仕事をしている。

これからの仕事に対する意気込みが伺えるような1枚だ。



本格的な仕事の前に、まずは函館の英雄に表敬訪問。

土方歳三の墓参りだ。

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新撰組の鬼の土方副長に対し、改めて決意を示す仕事の鬼二人。


早速我々は、野郎二人で夜景を見に行った。

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これが函館の夜景ってやつか。

なるほど、キレイだ。

男二人で来る所ではなかったか。

今後のデザインの参考にしよう。


今日も朝からはりきって仕事だ。

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ナイスポージングで、行ってきます。

今日も一日頑張ろう。



昨日に続いて、本日もさすらい現場調査。

男達の「さすらい感」への情熱は止まらない。

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一体何をしているのか?

今となってはよく分からない。


本日の現場も美しい海だ。

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おもむろに駆け出す鬼の営業中須さん。

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持ち前の行動力と、仕事への嗅覚が彼を突き動かしたのだろうか。

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彼は砂浜にハートマークを書くと、満足げにタバコに火をつけた。

ハートマークは波にさらわれて、はかなくその姿を消して行く。


中州の夜でも思い出しているのだろうか?

彼は目を細めて、じっと海の先を眺めていた。



仕事用に買って来た現場調査用の専門誌「マップル函館」に載っていた温泉の調査に向かう。

そう、ここは海水温泉だ。

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いそいそとズボンを降ろしているのが僕で、なんとその奥に若いカップルが入浴している。


僕は温泉の前に立ってピースする。

中州氏はそんな僕をカメラに収める。

そして撮れた写真がこれだ。

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盗撮チックになっているばかりか、僕は完全にフレームアウトしている。

さすが、常にアンテナを張っている敏腕営業だ。

何か心を打つものがあったのだろう。

それとも僕はおとりに使われたのか。

どっちにしても二人はホクホク顔でその現場を後にした。



やがて僕は専門誌「マップル函館」に気になる記載を発見した。

「函館大沼カヌー体験」という案件だ。


デザイナーとしてのインスピレーションが激しく僕を突き動かす。

僕は中須さんに懇願した。

ここを調査しないとビッグビジネスチャンスを逃す事になると。


二人はすっかり疲れていたが、そんな体に鞭を打って立ち向かう。

仕事こそ我が人生。

過労死したって本望さ。

早速我々は先方さんにアポを取って、打ち合わせに向かった。


気がつくと我々は大沼湖にカナディアンカヌーで浮かんでいた。

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なぜこんな事になってしまったのか、いまいち事態を飲み込めない二人。


しかしこんな時こそ笑顔を絶やしてはダメだ。

僕は引きつりながらも、精一杯の営業スマイルを作る。

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無理に笑うのは実に疲れるものだ。


湖からはとても印象的な形をした「駒ヶ岳」が見える。

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活火山で、噴火した際にガッポリえぐれて、こんな形になったそうだ。

と、先方の営業さんがガイドしてくれた。

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その後もこの雄大な取引先を見て回り、長くて大変な打ち合わせが終わった。


実にヘビーな一日仕事だった。

別に手当を貰わないと、やってられないぜ。


そして文句をブツブツ言いながら、二人は函館の夜に消えて行った。

まだ二人には「ネオン看板見学」という最後の仕事が残っている。

最後の最後までこき使ってくれるぜ。

これで思い残す事無く、嫁いで行けるってもんさ。


こうして帰社後、僕はこの会社を退社して行った。

今となっては懐かしい思い出だ。

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ほんと、もう時効なんで許して下さい。

もちろんちゃんと仕事してましたよ。

中須さん、すみませんでした。


また仕事ご一緒する事があったら、四国に行きましょう。

いい案件、沢山ありますよ。



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コメント

    • ルーシー
    • 2013年 6月 19日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    北海道でカヌー、しかも景色も最高じゃないですか~それが仕事なんて、羨ましい。あちこちでカヌーに乗れていいですね。
    実は、いよいよ明日から、我が家は北海道旅行へ旅立ちます。念願の釧路湿原でのカヌーも組み込みました。が・・・天気が悪そうです@@
    どうなることやらわかりませんが、2時間くらい漕ぐだけの、観光客むけツアーですが、それでも十分湿原の自然を楽しめるかなと思います。
    また報告します。いや、別にいらないか(笑)失礼^^

    • yukon780
    • 2013年 6月 20日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    北海道ですか!猛烈にうらやましいです。
    まさに北海道はカナディアンカヌー天国ですからね。
    釧路川は僕も行きましたが(北海道中膝栗毛参照)、ひたすらに楽しかったです。(土砂降りとアブに苦しめられたけど)
    2時間のみの釧路湿原ってことは、源流部じゃなくて塘路湖あたりから漕ぎ出すツアーですかね。
    釧路湿原では鹿や丹頂鶴とも出会えたし、独特の雰囲気でとても好きな区間です。
    ぜひぜひまたご報告くださいませ。
    また僕の放浪病に火がついてしまいそうですが…。

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