ジョウゴ沢/長野

極寒童貞喪失訓練〜お鶴さんの寒波に乾杯〜

ice 2

暖冬の2016年1月。

雪不足にあえぐ日本列島。


そんな腑抜けた日本に喝を入れるべく、ついに僕は重い腰を上げて八ヶ岳に向かった。

すると図ったかのように突然の記録的大寒波襲来。

大分前から計画していたにもかかわらず見事なるジャストミート感。

4日前まで晴れ予報だったのが嘘のように予報は激変。

やがて八ヶ岳から青い空は消え去り、白で白を塗りつぶすホワイティな極寒世界が現れた。


しかも悪い事に、この時あの松岡修造が錦織の応援のためにオーストラリアにいるという悲劇が重なった。

これにより、日本は「修造の不在」と「悪天候男のやる気」という最悪な事態に陥る。

やがて暖冬ニッポンは一転、沖縄本島で雪が初観測されるなどのまさかな状況に追いつめられたのである。


このやり過ぎ感の否めない大寒波襲来の中、あえて我々は極寒の八ヶ岳にその身を投じた。

目的はただ一つ。

それは「アイスクライミング童貞喪失訓練」なのである。


ヌクヌクとしたホテルで童貞喪失するのは並の男のする事だ。

どうせ喪失するなら、ティンコがうずらの卵級に縮小してしまう氷の世界で喪失した方が粋だ。

彼女の冷えきった氷のハートに、情熱という名の斧を突き刺してこそ真の漢なのである。


これはそんなアイスを知り尽くした教官と、ウブでシャイなチェリーボーイ達による童貞喪失訓練の記録。

あえて極寒の中でテント泊しながら挑んだ、凍傷寸止め大会。

彼らの逞しい訓練の模様、キリリと振り返ってみよう。


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2年ぶりの美濃戸。

その舞台に今、2年前より確実に老化して覇気の薄くなった4名の初老の男達が舞い降りた。

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左から小木K、ジョンボーA、ランボーN、僕のメンバー。

後列のシェルパブラザーズと僕はお馴染みの雪山メンバーだが、一人頭を光らせながらヘラヘラ笑ってる小木Kがいる事に注目。

夏の彼は「水分補給はビール」「行動食はうまい棒」「忘れたものは矢作C補給」でお馴染みだが、冬に登場するのは非常にレア。

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そもそも彼は今回が初の本格雪山デビュー。

今回、僕に「赤岳鉱泉で新年会鍋パしよう。鉱泉までは経験無くても全然行けるから。俺らはアイス組だで小木Kはゆっくり鉱泉のあったかい食堂でビールでも飲んでくつろいでてよ。」と誘われている。

しかし結局直前になって僕から「やっぱ小木も俺らと同じ行程でアイスクライミングね」と突然言われ、望んでもいないのに強制アイスクライミング労働に巻き込まれることになった。

初の雪山デビューがアイスクライミングという、まさかの飛び級童貞喪失。

筆下ろししてもらおうと思ってソープランドに行ったら、間違えてスカトロの館に入り込んでしまったかのようなディープなコア感である。


そんなカモがネギ背負った状態(実際に背負ってる)の小木Kの前には、非常に物々しい姿のランボーNの姿が。

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まるで通りすがりの登山者から1000個目のクライミングギアを強奪しようと企む武蔵坊弁慶のような佇まい。

しかし彼こそが我らのアイス童貞喪失請負人。

若き頃から現場主義で鍛え上げたアイステクニックで、今回は3人の童貞達を立派な男にしてやるとばかりに気合い十分。

だが気合いが入りすぎて、この数日前に右腕を捻挫して激痛状態。

そしていつものように、ほぼ4日間寝てないという変態さ。

我々はこんな男に命を預けても大丈夫なんだろうか?


そんな感じで赤岳鉱泉を目指すが、重量ザックの重みと久々の雪山で瞬く間に疲弊していく初老達。

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この2時間ちょっとはなんだか地味にしんどかったが、特記すべき事は無いのでいきなり赤岳鉱泉着。

あの伝説のヤツオリンピック以来のアイスキャンディーである。

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前回はスルーしたが、今回はここでみっちりアイス訓練だ。


そしてランボーNに「なんか会う度に弱っていってますね」と指摘されたほど老化が著しい僕は、この時点ですでに虫の息。

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僕は僕で謎の腹痛&下痢という安定した下ごしらえの中、脱糞か否かの激しい攻防戦を乗り越えてここに辿り着いたのだ。

童貞喪失の緊張から腹を下すという、実に分かり易いチェリーマスオの勇姿なのである。


やがて休憩もそこそこに、早速テント設営開始。

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ここで我々の雪山テント泊恒例行事、「テント飛ばし」のお時間が突然スタート。

我らの間では雪山新人が通る登竜門的なイベント。

その競技に今、小木Kのテントが挑んだのである。

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突風にあおられて飛んでいく小木テント。

しかしそのテントを必死の形相で追っているのは小木Kではない。

かつて八方尾根のジャギ谷において、テント飛ばしの壮大なワールドレコードを打ち立てたレジェンド「ジョンボーA」。

テント飛ばし時における初動の重要性を身をもって知る彼は、考えるより先にテントを追ってしまう習性が身に付いたのである。

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そして当時のジョンボーAのように呆然と己のテントが飛んでいくのを見ていた小木Kも、完全に出遅れた状態でテント回収へ。

まあそもそも彼はジョンボーAが走り出した時点で、もう自分で取りにいく気はサラサラなかったようだが。

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ここが谷じゃなくて本当に良かった。

今回のテント飛ばしの記録は約20m。

ジョンボーAの200mの記録には遠く及ばなかったようだ。

次回は君の挑戦を待ってるぞ。


そんな感じでテントを立て、落ち着いた所で受付していざアイスキャンディーへ。

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「なんか本格的にやってる人っぽさ」に誰よりも執着する二人は、この格好でここに立ってる時点で興奮が止まらない。

「やっぱダブルアックスは絵になるね」「僕相当今カッコ良くないすか?」「ハーネスにジャラジャラぶら下げてるだけでもうイキそうです」等など。

哀れなほどに痛々しい童貞野郎達の浮き足っぷり。

コンパで電話番号を交換しただけで、もう童貞喪失した気分になってる哀れな大学生のようだ。


そして誰よりも「箔が付く事」を愛してやまない小木Kに至っては、まだ登っても無いのにこのやりきった感。

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確かに本格感は出てるが、なんとなくイモトアヤコに見えるのは気のせいだろうか?


一方、今回のアイスに向けて僕の準備も万端。

ヘルメットに氷避け用のバイザーを取付け、ビレイ時の防寒用ビレイパーカまで新調してやる気満々。

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しかしこの出立ちに対し、「なんかスーパーカブとかに乗ってる新聞配達のおっさんみたいですね」という心ないディスりが容赦なく浴びせられた。

確かに自分で見てみても雪国の気の良い新聞配達のおっちゃん感が果てしない。

何をやっても「本格感」や「それっぽさ」が出ないという絵にならない男。

それが私なのである。


で、そんな感じで3童貞が遊んでいる間に、ランボー教官がロープの設置を完了。

早速何かあっても簡単には死ななそうな男から、ほぼノーレクチャーで登らせてみる。

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さすがは見た目から入る男、実に絵になっている。

ここは一番の初心者コースなんだが、彼の手にかかると雰囲気だけはアイガー北壁なのである。

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これは僕も負けてられない。

いざ、氷壁の上のおウチに新聞を配達しに行くのである。

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激しくケツを突き出したクライミングテクニック「Heppirigoshi」を駆使し、果敢に新聞を配達する男。

やがてあっという間に両腕とふくらはぎがハイパーパンプアップ。

明らかに無駄な力が入りすぎてる。

そして休憩できるほどアックスとアイゼンを突き刺しきれてないから、全身のプルプルが止まらない。

しかし他のメンバー達に「今日アイスキャンディーにいる人の中で一番のデカケツ」と言わしめたこのケツを突き出して魂のクライミングを披露。

これぞ世界に数人しか使えないというクライミングテクニック、「ぷりケツクライミング」。

略して「プリクラ」の全貌である。



この安産型スタイルでなんとか登破成功。

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そこから懸垂下降で帰還したが、もはや腕とふくらはぎの筋肉がびくんびくんして放心状態。

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少しは成長出来ただろうか?

しかしここで注目すべきはそこじゃない。

むしろ成長しすぎたこの腹の方が気になってしまう。

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実はこの2ヶ月で6キロも太ってしまった私。

すっかり色的にもドラえもんのような風体になってしまい、痛々しいことこの上なし。

童貞を捨てる前に、まずは痩せることから始めなければならないようだ。


そして図らずもなぜかアイスクライミングすることになってしまった小木K。

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でも実は彼は、毎度難しいことをひょうひょうとこなしてしまう男。

借り物のアックスで、なんだかんだとサクサク登っていくのである。

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なんでもウマいこと立ち回って、それでなんだかんだうまく行っちゃう彼の人生のようなクライミング。

僕が抱える闇の足かせ的な物は無く、彼はいつだってひょうひょうと物事を成功させて行く。

まるで雲のジュウザみたいな奴だが、それはカッコよくて悔しいから今後もジャコウで押し通します。


一方、そんな童貞達の訓練中、3時間以上黙々とビレイに徹するランボーN。

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後方で腹を出してアホ面してる僕も気になる所だが、右腕痛めて寝不足の中、結構しんどいビレイヤーの役をやり続けているこの人も超人だ。

小木Kが調子良く登ってるから、いっそこのまま寝落ちしないかなって期待してたけどさすがに落ちなかった。

しかもその後、痛めた腕で「いて、いててて」と言いながら登ってっちゃうし。

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もちろんこの時、ビレイヤーとしてビレイ訓練もさせてもらっている。

決して新聞配達のおじさんがサボって凧上げに興じているわけではない。

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そして、調子に乗ったジョンボーAを宙づりにして懲らしめてるわけでもない。

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そんなSMビレイタイムを楽しんでいると、あっという間に4時間ぶっ通しで遊んでいたことが判明。

気づいた時にはすっかり吹雪いて来て、猛烈に寒くなって来た。

赤岳の姿なんて一度も見ること無く、すっかり景色はいつものグレーに。

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いつもの登山目的だったらここで「ジーザス…」と言ってうなだれる場面だが、今回は景色関係なしのアイス訓練。

久々におおらかな気持ちでこのグレーを堪能出来た。


やがて握力がゼロになって来たから、本日の訓練終了。

テン場に戻ると、この4時間ずっとテント開けっ放しにしてたことからジョンボーAのテント内が雪まみれに。

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これから極寒の夜を迎えるというのに、さすがは男ジョンボーAである。

しかしそのジョンボーよりも男らしい奴。

それがこの、テント内に置いとくと臭いからと言ってずっと外の雪に刺してた「ネギ」である。

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ネギとは思えないほどにカッチカチに凍っている。

もはやネギで釘が打てそうなほどの凍りっぷり。


実はこの時点で-20度(体感)の世界。

かつてない寒さに、慌てて我がシャングリラ3に避難するメンバー達。

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あまりの寒さに、ジョンボーAは盗賊かテロリストかけっこう仮面のような状況に。

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二,三人は殺してる顔をしているが、彼はモンゴルから留学して来たばかりの純朴な男。

モンゴル顔の彼がこのシャングリラに入って来ると、とたんに「ゲル感」が出てモンゴルでおもてなしを受けている気分になって来る。

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彼が横綱を目指して来日して2年、ようやく片言の日本語が喋れるようになって来た。

そして上手にちゃんこ鍋が作れるようになって来た。

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そっと目を閉じて思い出すのはウランバートルに残して来た両親の顔。

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そんな苦労人、朝青龍(本名:ドルジ松尾)渾身の鍋が完成。

寒すぎてシャーベットになってしまったビールで乾杯です。

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誰もが「熱燗が飲みたいな…」という極寒の中でのエクストラハイパーコールドビール。

そのキリリとしたのどごしは、それだけで喉が凍傷になりそうなほどだ。


そんなこんなでたらふくメシを食らい就寝。

-20度の世界でフロアレステントで寝る自殺行為感がたまらない。

しかも僕のシャングリラはさっきまで宴会場だった。

それ故、夜中に凍った大量の結露が、顔にダイレクトに降り注いで来るというおまけ付きである。

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寝耳に水どころか、寝顔に氷結パック。

何度も顔面のあまりのヒヤッヒヤぶりに目が覚める。

それでも根性で寝る。

これはこれで一つの戦いなのである。


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翌日。

相変わらず当たり一面、核戦争後の世界観。

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前日より明らかに寒波が侵入して寒いこと寒いこと。

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じっとしてるとあっという間に足先の感覚が無くなって来るから、早々に移動開始。

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本日目指す訓練場所は、ジョウゴ沢という有名なアイスステージ。

その中の「F1」と呼ばれる最初の滝で、アイスキャンディーとは違った自然の中でのクライミング訓練なのであります。


30分ほどでそのF1に到着。

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サイズは小さいものだけど、天然の氷瀑は初めて見るから興奮気味な童貞達。

今日はここで訓練に集中。

ランボー教官が「ちょっくらこの縄で虎でも捕まえてくるわ」とでも言わんばかりに、颯爽と上部へロープを設置しにいく。

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そして本日もクライムクライムクライム。

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皆昨日より明らかに上手になってる。

でも昨日より明らかに凍傷寸前になってる。

実は沢筋だけあって、アイスキャンディーより遥かにここは寒かった。

あっという間に手と足の指先から感覚が消え、「これリアルにやばくないか?」と不安になるくらいの氷結感。

そんな中でも寒さに鈍感な小木Kだけは、ビレイパーカーどころかダウンすら着ずに普通のレインウェアで過ごして平気な顔しているという変態さ。

さすがはかつて冬に家の風呂で寝てしまい、朝冷水の中で起きても平気だった男。

僕からしたら信じられない体質をしている。


そんな中、不安になって教官に「感覚的に凍傷ってどこまで行ったらなります?」と聞いてみても、「どこまでも行けます」と答えるばかり。

レインウェア鈍感男と凍傷鈍感教官に挟まれ、我が不安は増すばかり。


そんな中モンゴルからの留学生が、何やらエロい目で氷壁に向かって何かをグリグリしている。

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これはモンゴル流のイカせテクニックなのか?

そう思って見学していると、彼は片言の日本語で「コレは油こぶです」と言う。

よくよく聞いてみると、氷壁にV字にスクリューで穴を空け、そこにスリングを通して支点にする「アバラコフ」を作る練習をしてた模様。

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童貞のくせに、事前にたっぷりとホットドックプレスに目を通して来たのか、分不相応なテクニシャンになってやがる。

で、僕や小木Kも負けじと片手でスクリューを刺す訓練開始。

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これが驚くほどにしんどい作業。

こんな事をクライム中に片手でやるなんて信じられない。

こりゃあ道具一式買ったわ良いけど、ちょっと腕の筋肉つけていかんとなあ。

その前に痩せんとなあ。


そしてあまりにも寒いし、あまりにも時間経っちゃったから最後は懸垂下降訓練で締め。

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小木Kはただ赤岳鉱泉にビール飲みに来るだけの雪山予定だったのに、今や懸垂下降までやらされてすごい二日間だ。

これで彼の男塾強制入塾試験は勝手に終了。

晴れて小木Kも、今後の雪山男塾シリーズへの参加資格を獲得であります。


そんな貴重な体験を満喫し、赤岳鉱泉に戻った我々。

するとそこに、この極寒の中超薄着で外にいるマゾガールを発見。

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実は彼女はパパラッチKの友達で、僕とは2度ほど面識あり。

山好きが行き過ぎたあまり、去年からこの赤岳鉱泉で働いているというおもてなし系マゾガール。

いつも笑顔の印象しかなく名前に鶴が入っている事から、彼女の名は「笑福亭お鶴さん」と言う。

ブログ読者でもある彼女は「本当に悪天候男が来ると真っ白になるのを目の当たりにしました。でも今度ばかりは雪不足だったからかなりの人に喜ばれました。」と言ってくれた。

悪天候人間として初めて人の役に立った気がしてならない。


せっかくなので記念写真を撮ったが、あまりの寒さにカメラの保護フィルターが凍ってしまってご覧のボケボケさ。

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今回悲願のブログ初登場となった笑福亭お鶴さんだったが、その顔はぼやけてよく確認出来ない。

結局彼女は登場したのはいいが、謎のベールに包まれたままお別れする事になってしまった。

しかし赤岳鉱泉的にはこの寒波で随分助かった事だろう。

出来ればステーキの一つも出してほしかったものだ。(※ちなみに以前我々が泊まった時はサンマだったのに、この日はちゃんとステーキでした…)


そして美濃戸まで無事に帰還。

IMG_9599 のコピー

ここで僕だけ窓枠出演になっているのは、帰還途中で死んだからではない。

この最後の記念撮影時にちょうどカメラのバッテリー切れになり、iPhone撮影者として無念の窓枠出演となったのである。


さあ、ひとまずこれでアイスクライミング訓練第一章が終了。

だがこの程度のちょろり練習ではまだアイス童貞を卒業したとは言えない。

言ってみれば現時点の我々は素人童貞。

所詮金を使って、アイスキャンディーという名の用意されたお相手で簡単に済ませてしまったに過ぎない。


ということで、次回2月に予定してた谷川男塾を延期し、再びジョウゴ沢にトライ。

F1より上に攻め上がり、稜線まで出て硫黄岳を落とすことに。

実際の現場での筆下ろし特訓だ。

それはちゃんとコンパ→電話番号→デート→さぐり合い→下宿先→フィニッシュという王道の喪失物語になる事だろう。

まあ真実を言うと、厳冬期谷川岳西黒尾根の現実に恐怖して怖じ気づいたってのが真相だったりするけど…。


というわけで、その日までしばし僕は特訓月間に入ります。


クライミング中にプルプルしない腕と足の筋肉強化。


あと、このお腹をどうにかする事ね。




極寒童貞喪失訓練 〜完〜


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ってことで久々おまとめ動画です。

でも今回はバッテリーを4つも持って行ったのに、あまりの寒さの為すぐに電池切れ。

ほとんど動画を撮れず、完全に撮れ高不十分。

一番短い曲を選んだけど、それでも最後は画像で無理矢理繋いでます。

今後、このバッテリーの保温問題も考えて行かんとなあ。

雪山って行くたびに問題抱えて帰って来るから困るよね。





【上半身】
・ベース/ファイントラック「アクティブスキンロング」
・インナー/スマートウール「NTSミッド250クルー」
・ミドル/パタゴニア「R1」
・アウター/パタゴニア「ナノエア」
・ハードシェル/MHW「ドライステインジャケット」
・ビレイパーカ/パタゴニア「DASパーカ」

【下半身】
・ベース/ファイントラック「アクティブスキンロング」
・インナー/スマートウール「NTSミッド250ボトム」
・ミドル/マムート「ソフテックトラバースパンツ」
・オーバーパンツ/MHW「ヘスティアパンツ」
・防寒/ナンガ「スーパーライトダウンパンツ」

【足】
・ソックス/ノースフェイス「アルパインクライマーソックス」
・予備ソックス/スマートウール「マウンテニアリング」
・シューズ/ノースフェイス「ヴェルトS6K」
・スパッツ/ヘリテイジ「サガルマータロングスパッツ」
・防寒/ナンガ「テントシューズロング」

【頭部】
・ヘルメット/グリベル「サラマンダーXL」
・キャップ/マムート「ツィークビーニー」
・バラクラバ/マーシャス「AIR SKINメタリックス・フード」
・ネックウォーマー/ibex「インディークイックリンク」
・サングラス/オークリー「ピットブル」
・ゴーグル/スミス「iOX」

【手】
・グローブ/モンベル「オーバー+ライナー」
・インナーグローブ/ミズノ「ブレスサーモインナーニットグラブ」
・予備グローブ/ラボラトリズム「VBLグローブ」
・テストグローブ/マーシャス「エアーフュージョングローブ」

【ギア1】
・ワカン/マジックマウンテン「ネイジュ」
・トレッキングポール/ローカスギア「cp3」
・ヘッデン/ブラックダイヤモンド「ストーム」
・スコップ/bca「 B-1 EXT」

【ギア2】
・アイゼン/ブラックダイヤモンド「スティンガー」
・アックス/ペツル「クオーク」
・ハーネス/ブラックダイヤモンド「モーメンタムDS」
・スクリュー/グリベル「スピーディー16cm×2」
・クイックドロー×2,カラビナ×2,スリング×2

【ザック類】
・大型ザック/グレゴリー「トリコニ60」
・カメラバッグ/パーゴワークス「フォーカスL」
・GoProセルフィー入れ/ノースフェイス「TRポールホルスター」
・ダウン類圧縮/グラナイトギア「eVent シルコンプレッサー 」
・ゴミ袋/モンベル「O.D.ガベッジバッグ」
・エマージェンシーキット

【デジ物】
・GPS時計/スント「アンビット」
・ハンディGPS/ガーミン「eTrex20」
・一眼カメラ/ペンタックス「K30」
・三脚/ベルボン「キューブ」
・ウェアラブル/GoPro「HERO4silver」

【住】
・テント/ゴーライト「シャングリラ3」
・ペグ/MSR「ブリザードステイク×6」
・シート/デュポン「タイベックシート」
・マット1/サーマレスト「リッジレスト」
・マット2/サーマレスト「ネオエアーXサーモS」
・シュラフ/ナンガ「オーロラ900DX」
・ピロー/モンベル「U.L.コンフォートシステムピロー」
・チェア/サーマレスト「コンパックチェア」

【食】
・鍋/チームマサカズ「黄金の鍋」&おたま
・鍋台/EPI「ポットスタンド」
・バーナー/プリムス「P-132」&ガス缶
・コッヘル/エバニュー「チタンクッカーセット」
・食器/シートゥサミット「Xシリーズ×2」
・箸/モンベル「野箸」
・水筒/サーモス「FFX-900」
・鍋具材、ラーメン×2、パン数種、行動食
・ビール×2、ウイスキー



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コメント

    • モチック
    • 2016年 1月 30日

    SECRET: 0
    PASS: cad9823d17a4a7112728549b7060e62c
    お~、カッコイイ!!
    初アイスクライミングですね!クオークとスティンガーの刺さり具合はどうでした?
    1月24日の赤岳鉱泉のFBを見ると、「本日は吹雪。最高気温 マイナス14℃、最低気温 マイナス17℃」と書いてました。その中でテント泊って、すごいなぁ。
    実は僕もその日赤岳鉱泉に行っておりました。あのシャングリラ3などなどのテントは皆さんのだったんですね。僕はもちろん小屋泊でぬくぬくでした。陶板ステーキをいただきましたよ!
    日曜日は、アイスクライミング初心者体験会に参加し同じ氷壁を攀じりました。3回で腕がパンパンでしたが、とても楽しくてちょっと癖になりそうです。

    もしお会いできれば、お声かけしたんですが、ジョウゴ沢だったんですね。残念!。

    • yukon780
    • 2016年 1月 31日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    赤岳鉱泉にいたんですね!
    せっかく鉱泉まで行ったのに、あんな天候に巻き込んでしまって申し訳ないス。
    あれが我々がいつも楽しんでいる雪山のデフォルトの状態であります。
    実は-17度だったって知ってたんですが、協議の結果「泊が付くから」という理由で-20度と書きました。
    でもそれくらい寒かったですね。
    そんな我々がプルプル震えてシャーベットビール飲んでる時に、ぬくぬくとステーキを食っていたなんて…。
    せめてサンマだったらこっちも救われたんですが。

    クオークとスティンガー自体は刺さりのいいものなんですが、どうしても自分のパワー不足で刺さりきりませんでした。
    いきなりモノポイントアイゼンはちょっと過酷でしたね。
    前爪二本の小木Kがすんなり行ってたんで、次回はデュエルでジョウゴ沢攻めてみますよ。

    あの状況でシャングリラなんて酔狂なテントで寝てるのは僕くらいなもんなんです。
    次回そんな奴がいたらぜひ声かけてください!

    • モチック
    • 2016年 2月 01日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちはモチックです
    僕は赤岳鉱石のステーキよりも赤岳から見る富士山の方がうらやましいです。初日に赤岳アタックを試みたんですが、残念ながら天候悪く稜線に出る手前で敗退してきました。皆さんが見たあの景色を見たかった。。。

    僕もアイスクライミングにはパワー不足を痛感しました。氷を攀じるには筋トレが必要ですね。ボルダリングで鍛えます!
    道具はちょっと思案中です(´▽`;)ゞ

    • yukon780
    • 2016年 2月 01日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    確かにあの時の富士山への展望は、急登の末に突然バッと目の前に広がったんで感動ものでした。
    ステーキが食えたまでは良かったですが、惜しむらくは同じ日にそこに僕がいたってのが敗因でしたね。
    次回からは僕の現在地を確認してから赤岳は目指しましょう。
    あと松岡修造の現在地もご確認お忘れなく。

    アイスはとにかく左の刺さりが悪かったのと、足の刺さりですね。
    次回からは「嫁め!」っと言うかけ声と共に氷にアックスをぶっ刺そうと思います。(まあ実際今回もそのかけ声でやってたんですけど…)

    • モチック
    • 2016年 2月 01日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    嫁っ!ですか
    もう仕事中なんですからあんまり笑かさないでください。吹きましたよ(笑)
    確かに左のアックスと足が難しかったですね

    • yukon780
    • 2016年 2月 02日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    嫁っ!は、いたって真面目にやって気合いを注入したんですが、現実と同様カチカチの氷対応ではじき返されました。
    もっと強いハートと男気を身につけてから再戦を挑みます!

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