突然の寒波が訪れたこの日。
誰もいない山間の川原で、己の一年を厳かに見つめ直すますらおが一人。
周辺にはちらほらと雪が積もり、とっても寒いが男はじっとその場を動かない。
愛しさと切なさと心強さを噛み締める、一人きりの忘年会である。
そもそも彼は、好き好んで年末にこんな我慢大会をするつもりではなかった。
ただこの日は彼が年末年始の連休の中で、唯一単独での外出が許された日。
天気予報を見ても完全なる晴れ予報だったため、昨今の暖冬具合もあって川納めに来たのだ。
しかし実際は、晴れたのはたったの30秒ほどであとはずっと薄暗い曇り。
そしてここんとこあんなに暖かかったのに、急に寒波が襲来しちゃって極寒の世界に。
それでもこの日しか自由のない男は後には引けない。
ってことで、色んなテストを兼ねて年忘れ寒中マゾ大会に突入してしまったというわけなのである。
向かった先は、ついこないだ我がホームリバーに認定された「根尾東谷川」。
そこでの川下りの様子は、コースも天気もほぼ前回と一緒なので今回は割愛します。
色々なテストをした結果だけを軽くご報告しますね。
というか、「色々テストをした」という結果を残して生産的な気持ちになっておかないと切ないんだよね。
ということで、もう2015年はボクデミー賞で〆てしまったけど、今回はおまけの記事。
年末暇な人のみこの先に突入してください。
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誰も来ない、薄暗く荒れた道。
そこにポツンと現れた一台の車。
まさか雪が降ってるだなんて思ってもいなかった。
ちなみにここで我慢出来ずに寒中野グソをしたんで、行かれる方は我がメモリーを踏まないように注意されたし。
ケツが凍るかと思いました。
今回は今後のソロ活動時の為に、自転車回送のテスト。
ゴールに車を停めて、この落石だらけの荒れ荒れの道を突き進む。
これが薄暗いし濡れてるしで、なんだか妙に怖いという年末肝試しに。
木々に積もった雪が解けて雨のように降り注いで来るから、早くもびしょ濡れになって寒い事この上無し。
で、スタート地点に到達して(コースは前回記事参照)早速準備開始。
今回は色々なニューアイテムをテストする。
まずは前回来た時にドライスーツのおかげで体は暖かかったけど、肌が出る顔と手が超冷たかった。
なのでその対策としてフードとグローブを新調。
共にマーシャスの「AIR SKINメタリックス・フード」と「エアフュージョン 2mm グローブ」。
これを身につけてみると、暖かさよりもまず変態度が格段にアップした。
今にもモジモジくん体操でも始まりそうな勢いである。
そしてここにヘルメットを被ってみる。
するとたちまち三億円を強奪しに行きそうな世界感へと変貌。
しかし私はこんなところに一人年末仮装大会をしに来たわけではない。
この新アイテムの性能を試しに来たのだ。
そして結果として、その効果たるや抜群のものがあった。
まず頭部に関しては防風・防水・保温・フィット感のバランスが適度にちょうど良く、そして暖かい。
もちろん顔面のズルむけてる部分はダイレクトに冷たいが、耳と頭部と首元が保温されてるだけで全体的に結構行ける。
思ったより締め付けもないし、耳部分にいくつか穴があいてるから音も遮断されない。
しかし横から見た時の「スケキヨ感」がハンパ無く、見た目が一気に犬神家的な闇に包まれるのが悩みの種である。
そしてグローブの方は、全く冷たさなんて感じない最強さ。
裏地も起毛素材で肌触りも良く暖かい。
しかも表地がザラついていて、パドルへのグリップ力が飛躍した。
厚手なんで細かい作業はしづらいが、これはかなりいい感じだ。
で、そのグリップ力をさらに高めるべく購入したのが、はっきりと口にするのがはばかられる商品名のこちら。
「セックスワックス」なのである。
最初このワックスを名前を見た時は、「何に使うのか?」「どこに塗るのか?」「どんな新しい世界が待っているのか?」という妄想が膨らんでしまったほどだ。
しかしこれはサーファーの間では有名なワックスで、パドルグリップの滑り止めとして効果を発揮。
これとグローブのダブル効果で、今まで結構悩みだった「パドルに力が伝わりきらない」という悩みが解決した。
何はともあれこのフードとグローブとフルドライスーツのおかげで、まだまだ冬でも川で頑張れる事が判明した。
今まで年間で唯一空きが出る、「川行くには寒いし、山行くには雪不足だし」っていう時期にも遊べてしまう事が分かってしまったのだ。
もうグッズ的には年中遊べてしまう。
しかし家庭的にはより捨てられる可能性がアップなのである。
さあ、それでは張り切って続いてのテスト。
それは「ドローンを買う金がないけど空撮で俯瞰の画像が撮りたい」というもの。
そこで高IQの僕が編み出したハイテクな撮影方法で撮ったのがこちら。
それがこのGoProを「空に投げてみる」という画期的な撮影法なのである。
ただこれも問題点としては、どうしてもGoProが回転してしまうため、映像として観るとグルグルして吐きそうになるという事。
なんとか本田圭佑のような無回転スローを試みるが、どうしても回転してブレブレ画像になってしまう。
しかも落ちて来たやつをちゃんとキャッチしないと壊れてしまうリスクが伴われるため、常に激しい緊張感が支配する。
だから川の上でキャッチするが、キャッチに失敗するとこのように「失敗した勢いで川にボッシュートする私」という画期的な絵が川の中から撮れるのだ。
もちろんこの時むき出しの顔面まで川の中に没して、しばし鼻水が止まらなくなるおまけ付きだ。
そんなこんなをしながら、快適な川下りは続く。
前回来た時が曇った状態だったから、今回に関して本来は晴れて日が射したクリアブルーの状況を撮影したかった。
でも結局前回と同じ曇り状況だから絵的には変わらない。
この川の真に美しい状態を撮れるときは来るのだろうか?
そんなこと思ってたら、さらに空はどんよりと。
これが天気予報「晴れ」と出た地域の空か?
しかも何やらポツポツとお馴染みの模様が…。
せっかく直ったばかりの一眼カメラ(小秀山で壊れて15000円修理代払ったやつ)を持って来たのに。
しかしそんな私にもピッタリな新アイテムが、修理に出したカメラ屋さんに置いてあった。
それがこのハクバの「ドライクッションポーチL」なのである。
長らく川下り時のカメラバッグは、モンベルの「プロテクション アクアペル 3L」を使っていた。
しかし前モデルのものは穴が開き、今モデルのものもちょっと薄手で心配だった。
しかしこのハクバのものは、強靭な厚手生地で防水性も心配無し。
もちろん内部にクッションもついてるからカメラ保護になる。
そして何気にDリングもついてるから、ヒモとカラビナでパックラフトに固定すれば沈した時の紛失防止にもなる。
欲を言えばこれのLLタイプがあるともっと出し入れがしやすくなるけど、現状Lが最大だ。
これで安心して一眼を川下りに持ち出せるぞ。
とりあえず今回はお馴染みの天気だが、まあこれはこれで幻想的だと都合良く思っておこう。
あとついでにもう一つテストしてたのが、シートゥーサミットの「パドルリーシュ」ね。
これは今年の姫川での「パックチェイス」や、西伊豆の「漂流三昧」の経験を元に急遽購入した。
要は沈した時のパドル流出を防ぐ為のもの。
今までは逆にヒモが首とか体に絡まって危ないかなあと嫌厭して来たが、単独行が多い身としてはやっぱ必要ですな。
そんなこんなで、川の説明ゼロのままゴールです。
しかしテストはまだまだ終わらない。
こういう一人の時じゃないと色々落ち着いて試行錯誤出来ないから一気にやるのです。
取り出しますは、最近嫁と喧嘩した時に腹いせの勢いでAmazon買いしたこいつ。
VARGOの「ヘキサゴンウッドストーブ」なのであります。
前々から欲しかったけど、まあそんなに必要ないかと中々買わなかったやつ。
それが前回雨の後の濡れた流木に火が着かなくて炊飯未遂になりそうだった苦い経験から、「細い枝なら比較的火は着く」ってことで今回導入したのである。
袋から出すとこんな感じ。
実は以前同じようなスイス軍製ウッドストーブを持っていたんだけど、それがクソ重たかった。
でもこいつはチタン製なのでスペシャルに軽い。
で、そいつをパタパタ開いて行くと完成。
これに細枝から頑張って少しづつ火を着けて行けば、今回のような濡れた状態でも着火可能。
今回は木々が濡れ濡れでも食にありつけたぞ。
こりゃ焚き火起こすほどじゃない時の一食分にはちょうど良いな。
そんな感じで、口から激しく白い息を吐きながらひたすら飯が炊けるのを待つ。
やっぱりこうして停滞してると寒くなって来るから、時折立ち上がっては軽くその場で立ちランニング。
本日18回目くらいの「私は一体こんな寒い所で何をしているんだ?」という疑問が浮かぶ頃、めでたく炊飯完了。
そしてここで取り出しますは、これもテスト用に持って来たこいつ。
FREELIGHTの「フロシキコジー」であります。
そもそもコジーってのは、アルファ米とかフリーザーパックした食材を包んで保温するもの。
このフロシキコジーは熱遮断率の高いアストロフォイルを使用していて、中に耐熱効果の高いカーボンフェルトが内蔵。
なので熱したばかりのコッヘルなど、そのままくるんで保熱する事が可能。
残ったお湯を保温したい時や、余熱クッキング、または水筒の凍結防止などにも役に立つ。
それを今回は熱々ご飯が冷めないよう、「ごはんの蒸らし用」としてアルミポッドを包んだのである。
その名の通り、四辺にベロクロが着いてるからフロシキみたいに自由な形にくるめるのがいい。
アイデア次第で色々と使えそうだから、今後が楽しみな商品です。
で、蒸し上がったご飯に焼き鳥缶とゆで卵乗っけたのがこちら。
特製焼き鳥丼でございます。
普段はこのままだとアルミポッドが熱くて持って食いにくかったけど、フロシキコジーならそのまま持って食べられる。
ちなみにこの焼き鳥丼もテスト的に作ったんだけど、うまいんだけど40手前の身にはいささか重かった。
危うく今年度の吐き納めになる所だった。
次回はシーチキン丼くらいにしておこう。
さらにちなみに一応書いておくと、フロシキコジーの耐熱カーボンフェルトは確かに耐熱だった。
でも焚き火からすぐのアルミポッドは熱々の煤が着いているため、それがカーボンフェルトに付着。
ペリット剥がすと、なんだかアルミポッドから毛が生えたみたいになることが判明。
このなんとも言えない陰毛感。
一応洗えば取れるんだけど、ストーブからおろした直後のクッカーならOKだけど、煤が着いた焚き火直後はあまり良くはないようだ。
何事も経験だね。
そんで最後のテスト。
若い時を思い出すために、ここで根性の寒中ギタータイム。
20代の頃の単独行時代は、夜に酒を飲みまくって焚き火の前でギター弾くのが楽しみだった。
なんせ誰も周りにいないし、ご近所の事を気にせず大声で歌えたから楽しかったのだ。
でも結婚して子供が出来ると、途端にギターを弾く事が無くなってしまった。
実に8年ぶりくらいのギターだったけど、なんとか弾けてあの頃を思い出せた。(余談だが、学生時代に僕がギター、ボーカルがアゴ割れM、ベースがゲリM、ドラムがシャクレYで「ミス汁」という名のバンドを組んでました)
こりゃ今後もソロで来れた時は楽しめそうだ。
ただし、あまりにも気温が低すぎて、たかがギターなのに指が凍傷になりかけた。
その度に指をくわえて暖めながらの、謎のちゅぱちゅぱおじさんと化してしまったのである。
そして本日24回目くらいの「私は一体こんな寒い所で何をしているんだ?」という疑問が生じた頃、いい加減家に帰ろうと決意したのである。
こうして寒さに耐えて数曲を熱唱した流しのおじさんは、いそいそと家路に着いた。
彼のロンリー忘年会はこれにて幕なのである。
結果的に「晴れて日が射した根尾東谷川を撮る」という目標は叶えられなかったものの、非常に多くのテストを完了する事が出来た。
一日中こたつの中に入って、年末のテレビ番組観てるよりかは幾分かマシな一日を過ごせたはずだ。
まあ見る人が見たら「なんて寂しい一日なんだ」と思うだろう。
でもこれでも十分楽しいのであります。
自由と寂しさとはセットなのであります。
試行錯誤と我慢とマゾも、男のロマンなのであります。
強がってなどいないのです。
強がってなんかあるものですか。
さあ、これで正真正銘2015年の締めくくりが終わりました。
孤独な忘年会の様子、ご清聴ありがとうございました。
では改めて。
皆さん良いお年を!
また来年お会いしましょう。
ロンリー忘年会2015〜年末テスト野郎の我慢大会〜
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MATATABI BASE
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