石津御嶽〜多度山/三重

雨中のマゾ行脚〜後編〜

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さて、前回の続き。

前回はゲリMの独壇場だった脱走兵達の雨中逃避行。

まだマゾ慣れしていない彼らを1から鍛え直す強行軍。

終わらない修行の旅、後編です。


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石津御嶽7合目付近。

山は霧に包まれ始め、幻想的でちょっと怖い感じの雰囲気になっていく。

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なんか墓とか出て来るし、おどろおどろしい感じだ。

そんな中でも、この男は終始アホみたいに元気をキープしている。

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アゴが割れているくせに、常に陽気なアゴ割れM。

悲惨な状況になるほどにテンションがアップして行く。


実はこのチームは比較的「S寄り」なメンバーが多い。

図抜けたドMは僕だけなんだが、このアゴ割れMも結構なマゾ野郎だ。


この男も、学生の頃から多くの悲惨な状況を乗り越えて来た男。

僕以外の人間で、「自業自得」の四文字が似合う男を他に知らない。

僕が「陰のマゾ」とするならば、彼は「陽のマゾ」。

こいつは、とんだゴールデンルーキーが現れたものだ。


そんな陽気な男を横目に、すっかり生気を失ったゲリMがヨロヨロと歩いて来る。

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まるで本日12回目の排便を終えた後のゲリ野郎のようだ。

虫の息で「頂上は…まだか?」と言っているが、まだ全行程の半分にも達していない。


やがて「頂上らしき」神社に到達。

結局この山には「石津御嶽山頂」的な看板が見つからなかった。

色々探した結果、この印象的な便器を「僕らの一等三角点」ということにした。

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一体誰がこんな事をしたのか、最初からこうなっていた。

この筒にセットして排尿しなくてはならないのか?

おつゆが飛び散らない為の工夫なのか?

チーム1の矢作Cの巨大な妖刀を納める為の鞘なのか?


なんにしても、とりあえず「石津御嶽」制覇。

頂上看板がなく、景色もない雨の中では達成感のカケラも味わえない。


そんな切ない状況下でも、やはりアゴ割れMは陽気だ。

ついに引っ張られるように小木Kもこの状況を楽しみ始めた。

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子持ちのおっさん二人が、雨の中で陽気に雪合戦を始めた。

なんて痛々しい光景なんだ。


チームで最も「S色」の強い小木Kも、こういう悲惨な状況を楽しめる境地まで近づいて来たようだ。

本来純粋な「ファミリーキャンパー」だった彼もとんだ世界に足を踏み入れてしまったものだ。


このチームに入るという事は、僕のように家族から冷たい目線を浴びる事を意味する。

今回も、みんな「なぜこんな雨の日に登るのか?」と同じ質問をされて来ている。

まず、基本的に理解してもらえないのだ。


事実小木Kも、今回の為にザックを新調したんだが、子供達からは「うんこ色のザック」とからかわれ、嫁からは「なんでそんな色にしたのよ」と非難を浴びる始末。

このようにして徐々に父親の威厳は失墜し、嫁から罵倒されるようになっていく。

いずれ嫁さんの口から「このブタ野郎」と言われた時が、彼がチームの不動のレギュラーになる瞬間なのだ。



よく分からない頂上を満喫し、多度山に向けての縦走が始まる。

早速現れた分岐点の看板が、なんとへし折れてるじゃないか。

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「まさか」な看板に対して、進む方向を見失い途方に暮れる男達。

なんて安っぽい進路妨害なんだ。漫画でしか見た事ないぞ。


念のためにiPhoneアプリで地図を作って来ていたから、なんとかGPSで進路を判別。

しかし、進んだ道には罠が仕掛けられていた。


そこに現れた道はとんだ「ゲリ道」だった。

ウォータースライダー状の道をゲリが流れる、汚物アクティビティー。

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出来るだけ慎重にゲリ道を避けながらの行軍。

一度このスライダーに足を踏み入れた日には、たちまちゲリまみれの大惨事。


我がチームのゲリMが落ちてしまったら大事だ。

たちまち共食いを始めて、ゲリMから「ゲリ」そのものになってしまう。

そんな事になったら彼の事を、今後「ゲラー」と呼ぶ事になってしまう。

お腹も緩いから、「ユル・ゲラー」だ。

スプーンを曲げるどころではない。

匂いでこちらの鼻が曲がってしまうじゃないか。


そんな事にならないように、慎重にゲリスライダーを下って行く。

そして、なんとか下りきって広場に出た。

みんな足下はグシャグシャなんだけど、中でもやはりゲリMの裾は激しかった。

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彼のものだけ「リアル感」が群を抜いていた。

これがほんとに泥だったかどうかは、我々には計り知る事は出来ない。


ちなみにこの時のこの写真。

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後に嫁に見せたら「なんか殺人者が山中に死体を埋めたあと、満足している2人組みたい」と言いやがった。

素直に「楽しそうだね」とか言えんのか。



話は戻って、縦走は続く。

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とにかく「滑ったら即ゲリ」の緊張感が続く。


そんな緊張が長く続き、長く雨に打たれていると次第にテンションが上がって来るものだ。

ついに快感の舞「エムザイル」が始まった。

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マゾな時間が続くと、この様な舞が始まる。

しかし約1名、明らかに対応しきれていない男が後ろから二番目にいる。

これほど生気がなく、楽しそうじゃないエムザイルは見た事がない。

彼だけが「喪中トレイン」に乗車中のようだ。



ここからは幻想的な光景の中、快適な尾根道が続いて行く。

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雨の日は雨の日で、中々いいものだ。

雨ならではの雰囲気が、中世ヨーロッパの森にでも迷い込んだかのような印象を与える。


平坦な道になって、多少元気を取り戻したゲリMが「森に迷い込んだ中世の旅人」という雰囲気でポーズを決めた。

遠くを見つめ、彷徨っている感溢れた写真を撮るのだ。

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しかし、後方から何も知らない小木Kがバッチリとカメラ目線。

せっかくのゲリMのポージングを見事に台無しにしてしまった。

結果的に、ゲリMがすごくアホっぽい感じで写ってしまった。

今回の旅は、彼は何をやってもダメな日のようだ。



良い感じの雰囲気なので、グラビアMドルの撮影会が急遽始まった。

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専属従軍キャメラマンの矢作Cもやっと復活して来たのだ。

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それにしても、アゴ割れMはどう見ても「ベテラン登山ガイド」にしか見えない。

こう見えても数回しか登山した事がない初心者なんだけが、イモトの登山隊に紛れていても違和感ないだろう。



さすがに腹が減ってきたから、小休憩で行動食タイム。


ここで再び登場するゲリMの「余計な荷物シリーズ」。

RedBullに続く第二弾「パイプ椅子」が登場。

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確かにあれば便利だが、ここまでのものを登山に持参している人を見た事がない。


そして間髪入れずに炸裂する「余計な荷物シリーズ」第三弾。

大量の「業務用バウムクーヘン」の登場だ。

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我が身を犠牲にしてまで、メンバーの為のエネルギー源を持ってきてくれたのだ。

結果、一番エネルギーを浪費したのはゲリM本人。

一人3つ食ってもまだ残りがある大量なバウム。


昨今のUL(ULTRA LIGHT)ハイキングブーム。

そんなヤワな風潮へ警鐘を鳴らす、ゲリM意地のUH(ULTRA HEAVY)ハイク。

荷物重量の制限なんて、この男にとってはクソだ。いや、ゲリだ。

自分で自分を追い込んで行くその心意気。

さすがはチーム・マサカズの発起人なだけはある。



エネルギー補給が完了し、先を進んで行く。

霧はさらに深くなって行き、より幻想的になって妖精でも現れそうだ。

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森の中から現れたのは、やけに濃い妖精のアゴ割れMだった。

随分カッコつけているが、このあと情けない排尿シーンを激写される事になる。

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ちなみにこのチームで立ちションをすると、もれなく激写されるのが慣例だ。

前回の金華山ではビビるSが激写されたが、その時に学んだ彼は今回隠れていつの今にか排尿を完了していた。

なので、今回餌食になったのは初参加のアゴ割れM。

深い霧の中での、過去最も幻想的な排尿シーンとなった。



そうこうして、やっとこさ多度山頂の山頂公園の東屋に到着。

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当たり前だが、山頂からの眺めは素晴らしかった。

心まで真っ白になりかねない、最高の眺めだ。

この頃には、もう誰も景色にはツっこまない。

それよりもメシだ。

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ここで矢作CもUHハイキングアイテムを取り出す。

まさかの「くそ重い鋳鉄製の鉄板」を取り出した。

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むちゃくちゃ美味いハムとソーセージ。

凄く美味くてありがたかったが、この二人(ゲリMと矢作C)は若干重量オーバーだった事は否めない。

自己犠牲の上で他人を喜ばせる良い奴らなのか、純粋なMなのか?

次回からも、このUHコンビのザックから何が飛び出すか楽しみだ。



こうして大満足で我々は下山して行った。

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正直、僕的には大満足な雨中登山だった。

雨の中でも(雨だからこそ)結構楽しめるもんだ。

今後「雨天決行、晴天中止」のまさか路線で行くのも悪くない。

でもそんなこと続けてたら、いずれメンバーが僕とアゴ割れMだけになってしまうから「たまには」晴れた日の楽しい登山をやって行こうじゃないか。


ちなみに下山中のこの写真。

ゲリMの左腕辺りに、写ってはいけないものが写っている。

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のちに嫁に「ほら、写ってはいけないものが写ってるよ」って言ったら、「こんなの後ろの人の手でしょ。写ってはいけないものってこの人(ゲリM)の事かと思った。」と言われた。

確かに、このくたびれたリアルドラえもんの方がツッコミ所が満載だ。


こうして、最後までゲリMの独壇場のままゴール。

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実に長い修行だった。

これでみんなまた一つ皮がズル剥けたね。


大変だったけど、やって良かった「まさかの雨中登山」。

次回はどんなアブノーマルな遊びをしようか。


次の予定は4月中旬の「近江八幡水郷巡り花見カヌー」。

もちろん目的は花見にあらず、マゾにあり。


我々のイバラの道はまだまだ始まったばかりだ。



最後に気を抜いたゲリMの排尿後のオフショット。

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タイミングを逃して「最中」の写真ではないが、やはり最後までこの男だった。

「持ってる男」とは彼のことを言うんだろう。

今後も彼から目が離せない。



雨中のマゾ行脚 〜完〜



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