石津御嶽〜多度山/三重

雨中のマゾ行脚〜前編〜

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降りしきる雨の中。

山中を彷徨うマゾ6匹。


ある者は嘆き、ある者は苦痛で顔を歪め、ある者は恍惚の表情を浮かべてニヤリとする。

後悔と愉悦が入り乱れる泥仕合。

何が彼らを突き動かしたのか?




「まさか」な出来事を楽しむ、アウトドアマゾ集団「チーム・マサカズ」第三弾。

二度のお試し登山を経て、ついに本格始動の時を迎えた。


あくまでも目的は「登山」にあらず。

ただ「マゾる」事だけが、我々の喜び。

そこに楽しい要素などは必要としない。


そんなチーム方針に従って、無理矢理開催された雨中登山。

天気予報が「雨」になっているにも拘らず、あえて山に登るのがチーム・マサカズの心意気。

楽しくない事を覚悟の上で挑んだ「石津御嶽〜多度山縦走」のロングマゾコース。


そんな彼らの「修行」を振り返って行く。


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そもそもの計画は、鈴鹿セブンの一角「入道ヶ岳」を登る予定だった。

登山初心者メンバーに、登山の楽しさを知ってもらう為に企画されたものだ。


しかし、週間天気予報はいつまでたっても「曇り時々雨」。

せっかくの入道ヶ岳は後日ちゃんと晴れた時に取っておいて、今回は「中止・延期」が濃厚だった。


そこでチームのマゾ頭(まぞがしら)である僕は別の提案をして、メンバーの心意気をテストしてみた。

「どこか別の山で、あえて雨の中、共にマゾる覚悟のある者はいるか?」と。


するとどうだ。

二人くらい参加するかと思ったら、「まさか」の全員参加表明。


初心者に楽しんでもらう為の企画が、登山の「辛い部分」を楽しむという企画へと変更された瞬間だ。

みんな随分と逞しく成長したものだ。


しかも今回は初参加メンバーとして「マサカズ」という男が参戦表明。

実はチーム・マサカズの名前の由来ともなっているチームシンボルの男だ。

↓この男ね

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チーム発足当初に冗談でこの男の名前を使っていたが、ここに来て「まさか」の本人参加表明。

今後はチーム名と混合しないように「アゴ割れM」と表記する事にする。

実際にアゴが割れているわけではないが、割れていそうな雰囲気なのでそう呼ぶ事とする。


こうして今回の修行メンバーは、マゾ頭僕、ビビるS、ゲリM、小木K、矢作C、アゴ割れMの6名となった。


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集合場所は多度大社付近の「愛宕神社」の無料駐車場に現地集合とした。

多度大社に停めると有料になってしまうからここにしたんだけど、これが最初の「まさか」を引き起こす。


場所がマニアックすぎて、カーナビできちんと表示されないのだ。

故に、駐車場に辿り着けずに迷子になる者が続出。

集合時間に到着出来たのは小木Kのみで、他の者は狭い路地に入り込んだり、周辺をひたすら徘徊する羽目となった。

登山前にして、遭難者続出の波乱の幕開けとなった。


もちろんこの場所を指定したのは僕だ。

相変わらずの抜かりのないチョイスとなり、登山前から皆に楽しんでいただけたと満足している。



なんとか駐車場にて合流して、1台の車に乗ってスタート地点へ移動。

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今回はワンウェイの縦走登山だから、スタートとゴールは別の場所なんです。

いつも単独行の僕にはできない、チームならではの縦走プレイが始まる。



石津御嶽登山口の駐車場に到着し、雨の中出発準備。

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僕がいる場合「晴れ」の予報が「雨」になることは日常的な事だが、「雨」の予報が「晴れ」になることはない。

それどころか「曇り時々雨」の予報が「常時雨」へと進化する。


まあ、今回に限っては雨は覚悟の上だ。

最初から雨だって割り切っていれば、思いのほか平常心を保つことが出来る。


そして出発前の記念撮影。

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一番右端で「精力絶倫ポーズ」を取っている男が、初参加のアゴ割れMだ。

陽気にポージングしているが、この男も雨男で有名な男だ。

僕とアゴ割れMの二大雨スターの夢の競演となった。


当たり前のようにザザ降りになっていき、スタートから早くも悲壮感が我々を包み込む。

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これは脱走兵の逃避行なのか?

彼らは何故わざわざこんな日に山に登るのだろうか?

それぞれの奥様に「何が楽しいの?」と言われながら集まって来た同志達。

彼らが目指すは「男のロマン」。

理解されなくたって構うものか。

不器用な男達の、ロマン探しの長い旅路が始まった。


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御嶽神社の鳥居をくぐれば、急登の登山道が待っている。

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ゲリMも「やってやるぞ」といった決意に満ちた精悍な顔つきだ。

前回はお気軽な金華山だったから、彼にとっては今回ちゃんとした登山デビュー。

僕とともに、男塾のような男子校時代を生き抜いて来た男。

我々の「男魂」を見せつけてやろうぜ。


しかしそのわずか十数分後、あれほど精悍な顔つきだったゲリMの顔が歪んで来たぞ。

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すっかりばててるじゃないか。

どうした?男魂は?


後で判明する事だが、彼は明らかに「余計な荷物」を沢山持って来ていた。

あえてザック重量を重くして挑むとはさすがの男魂。

郷土の英雄・家康公の「人の一生は 重荷を負いて 遠き道を行くが如し 急ぐべからず」を実践するセルフプレイ。

彼は将来有望なマゾプレイヤーだ。



そして、どんどん薄暗い森の中へ引きずり込まれて行く脱走兵達。

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雨はしんしんと降り続け、チーム的には「華やかな光景」が広がって行く。

しかし、この状況はマゾに慣れていない者達には刺激的だったかもしれない。

ついに順応しきれずに「変身」する者も現れ始める。


ふとゲリMを見てみると、とてもサイケデリックなホワイトメガネに変身していた。

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あまりの辛さに、ついに「ゲリM」から「M-flo」へと進化したのか?

今にもテクノな野外フェスが開演しそうではないか。


そしてこの「M-flo」化はウィルスのように増殖していた。

ふと、ゲリMの奥の方を見ると、矢作CもM-floへと進化していた。

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恐ろしきM-floウィルスパニック。

このウィルスに感染したこの二人は、ここからどんどん衰弱していった。

チーム・マサカズの専属従軍キャメラマンの矢作Cは、これ以降激しく体力を奪われて、しばらく撮影を放棄することとなる。

中々に期待通りのハードな登山修行となって来た。


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登山の楽しみの一つに、「眼下に広がる雄大な景色」が挙げられる。

そんな素敵なパノラマの景色を見て、人は登りの辛さも報われた気分になるのだろう。

登山初心者のメンバーにも、そんな体験をしてもらいたいものだ。

きっと辛さも吹き飛んで、登山の楽しさを味わえる事だろう。


我々は石津御嶽中腹の展望台に到達した。

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そこには一面が真っ白で、とても雄大な景色が広がっていた。


ただ呆然と立ち尽くすアゴ割れM。

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心の中に荒んだ景色だけが広がって行く。


最初から分かっていた事だ。

我々に素敵な景色なんて必要ない。

徹頭徹尾歯を食いしばり、眉間に皺を寄せて突き進め。

それがチーム・マサカズの生きる道。



その後もひたすら雨の中登って行く男達。

ついに見晴らしが良い(と思われる)尾根へ到達した。

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ゲリM-floの顔に生気がない。

すっかり疲れ果て、意志もなくただ歩くゾンビのようになってしまった。

彼はこの登山を楽しんでくれているだろうか?


後方からも、ヘロヘロの矢作C-floが追いついて来る。

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見ていて痛々しい。

僕がマッゾJAPANの監督であれば、迷う事なくこの二人を2トップに据えるだろう。

この二人の動きは、ワールドクラスの見事なマゾFWの動きだ。


よく見るとゲリMはこの日の為に、「M」(マゾ)とプリントされたグローブをコンビニで入手して来たようだ。

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今回の山行に賭ける、彼の並々ならぬ覚悟のほどが伺える。


しかしさすがの彼も限界が近い。

ついに彼の謎の重量ザックから、「余計な荷物vol.1 RedBull」が飛び出した。

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「まさか」のRedBull登場。

エナジーチャージが完了した彼は、その後パワフルに変化する。


かと思われたが、相変わらずグッタリと歩いている。

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残念ながら、彼がRedBullから翼を授かることはなかったようだ。


そんなゲリMのナイスセンタリングに、すかさずもう一方のFWがゴール前へ押し出して来た。

矢作Cがカメラの入った重いザックを、アゴ割れMのザックと華麗に交換だ。

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親切なアゴ割れMが、自分のザックと交換する微笑ましい絵だ。

しかし矢作Cは知らない。

アゴ割れMのザックには、何故か「テント」が搭載されていた事を。


日帰り登山での「まさか」のテントイン。

結果的に矢作Cが楽になったかどうかは謎だ。


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ちょっと時間が来てしまったので、今回はここまで。

「まさか」の二部構成でお送りします。


今回は何やら「ゲリM特集」といった色合いになってしまったが、次回はどうなのか?

次はどんな「余計な荷物」が飛び出すのか?

彼らは無事に下山出来るのか?

下山出来たとしても、ちゃんと楽しめたのか?


その謎は後編に明かされる。



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