◉日々のツレヅレ

男塾聖地・禊の儀〜木漏れ日の休息〜

komorebi_20170109212545546.jpg


2016年12月25日。

世の人々にとっては聖なるクリスマスデー。

しかしBBG松尾&田沢にとって、その日はそんな軟弱な浮かれ日ではない。

二人にとって12月25日は「クリスマゾの日」。

別名「男塾の日」なのである。



3年前のほぼ同日。

マゾの聖地冬季南アルプス。

僕とジョンボーAが、人生初の冬季3,000m登山となった仙丈ヶ岳で繰り広げた男塾。

これをきっかけに、当ブログでお馴染みの「男塾シリーズ」が始まって行くことになった。

参考記事:南ア男塾 前編〜ジョジョと僕らのホーリーナイト〜
参考記事:南ア男塾 後編〜白豚ショッカーズの絶頂行軍〜


senjo.jpg


それ以来、この戦いの起点になった北沢峠のこもれび山荘(当時は長衛荘)は、男塾発祥の聖地となる。

そしてこの時、小屋でグロッキーになって寝ていた僕らは、山荘のスタッフと間違えられてご主人に叩き起こされている。

そんなふとしたご縁から、僕らはご主人のことを「塾長」と敬い、それ以来塾長には色々目をかけてもらって親しくさせていただいた。


そんなご縁もあって、この度BBGを始めるにあたって「初心に戻る」という気持ちから男塾発祥の聖地への表敬訪問を敢行。

聖地で禊の儀式を行い、新たな年に向けて気を引き締めるのだ。


まあ一言で言えば、ただ「塾長のとこに飲みに行っただけ」なんだが、場所が居酒屋ではなく聖地であることが重要なのである。

それではそんな飲み行っただけの禊の儀。

さらりと振り返っていこう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


早朝。

松尾からの電話で目がさめる。

集合時間はAM4:00。

今AM4:20。

起き抜けから「うおおおおおっ!」と叫んで大パニックの田沢慎一郎。

その声にびっくりして嫁が起きてものすごい形相で「うるせえ!」と言ってきたが、それすら田沢の耳には入らない。

普段集合時間には絶対に遅れたことがない田沢、一世一代の寝坊である。


田沢がそれほどパニックになっているのは、実はこの日7:30に戸台の駐車場で塾長の奥さんと待ち合わせしているから。

そこで奥さんと合流して、お正月用の荷物を歩荷する約束をしていたのである。

塾長もそれに向けて空身で小屋から下山して来ているし、万が一遅刻して塾長夫婦を待ちぼうけさせてしまった日には命はない。

間違いなくそのままデスクイーン島に島流し確定だ。


田沢は全速力で家を出て、目を血走らせながら松尾を回収して一路戸台の駐車場を目指す。

ノンストップの高速アタックで、ギリギリ7:30に待ち合わせ場所に到着。

この時点で、すでに田沢は全神経と全体力を使い果たして虫の息。

男塾塾生たるもの、このようにして集合前から己を追い込んでナンボなのである。


無事に奥さんと合流して、ここで歩荷する荷物の仕分け。

男度を上げるために無駄に石像とか担がされるんじゃないかとハラハラしていたが、実際は普通の荷物だった。

田沢はワイン数本と、何気に重量のある伊達巻セット。

IMGP7008_20170104185204b42.jpg

松尾も酒やら調味料やらをザックイン。

IMGP7009.jpg

男塾塾長自らのご依頼の歩荷だったので、もっと圧死レベルのハードな歩荷だと思っていた。

松尾と田沢的には、この位のもの↓を歩荷する覚悟だったのでホッと一息である。

t02200293_0480064012490820829_20170104192321daf.jpg

とは言え、いい感じで気持ちよく肩に食い込む重量感。

そしてここから、あのお馴染みのひたすら長い河原歩きがスタート。

IMGP7011.jpg

3年ぶりのクリスマゾの日に、いざ思い出の地へ。

男塾名物「超論愚歩荷直進行軍」の始まりである。

IMGP7013_20170104185209381.jpg

途中で塾長と合流するまでは、奥さんもご同行の旅路。

相変わらず長い道のりだったが、奥さんの「耐える女トーク」が冴え渡ったおかげで、実に楽しい歩荷行軍となった。

どっか行く度に骨折って帰ってくる旦那や、田舎暮らしのあれやこれやなどなど、色んなことに耐える女の耐えトーークが河原にこだまする。

やがて河原の中間地点あたりで、小屋から空身で降りて来た塾長が「ワシが男塾塾長こもれび平八である!」と合流。

IMGP7016_201701041945206d2.jpg

相変わらず漂うアウトローな「現場山男感」がたまらない。

鹿などの猟もソロでこなし、体の中で折れてない骨は首の骨だけという漢の中の漢。

つい最近も「ちょっと伊勢に行きたくなって」と言っては長野から自転車(ロードじゃない)で伊勢までふらっと行ってしまってたし。

さすがはかつてアメリカ大統領にも「KOMOREBIがあと10人いたらアメリカは敗北していただろう」と高く評価されただけはある、我らが男塾の塾長なのである。


そんな塾長から、男塾名物「大魂(DAIKON)」を託された田沢。

その男らしいアイテム「大魂」をザックのサイドポケットに突き刺し、田沢も身が引き締まる思いである。

IMGP7022_20170104194525724.jpg

漢たるもの、冬季登山においてはアイゼンやピッケルと並んで最重要ギアである大魂。

これをいかにクールに運べるかで漢の粋度が決まるのである。


そしてここで奥さんと別れてからは、小屋まで塾長の「水と思って沸かしたお湯でカップラーメン食ったら、いろはすのオレンジ味だった」という男気トークを聞きながらのハイクアップ。

田沢も負けじと「もうマジ養子限界っす。気持ちが休まんないっす。」と山岳トークに花が咲く。


そんなこんなで、男塾名物「氷結津留津留橋」を乗り越え、

IMGP7024.jpg

グッハグッハとお馴染みの直登の宴を乗り越え、やっとこさこもれび山荘到着。

IMGP7035_201701041945221b1.jpg

3年前と比べ、随分とあっさり書いてるがその距離は相変わらずである。

ただ今回は仙丈ヶ岳にも甲斐駒ケ岳にも登らずここが目的地なので、随分と気持ち的にも体力的も楽だ。

田沢がピークを目指さないおかげで天気もすこぶる良かったし。(山頂目指すと途端に世界は白くなる)


聖地に到着した我々は、物資を無事に山荘へと引き渡し、早速禊の儀式へ。

昼間っから聖杯「旭超乾」を手にし、男塾塾歌を熱唱した後で乾杯。

IMGP7037_2017010420180882a.jpg

そしてその黄金の浪漫を一気に体内の五臓六腑へと送り込み、十分に体内で気を練ってから「武哈ッー」と吐き出す。

この瞬間、体内に溜まった俗世のしがらみやくだらない習慣、養子や鬼嫁からの抑圧からの解放に打ち震える。

そして風俗店から出て来た童貞大学生のようなツヤツヤの表情になったかと思うと、「もうあとは飲むだけだ」という男気スイッチが入るのである。


やがて酒との死闘に明け暮れる松尾と田沢の前に、相変わらずのこの豪華料理アタック。

IMGP7043.jpg

このおもてなしの波状攻撃に、田沢と松尾の酒が進んでしまうこと進んでしまうこと。

結局なんだかんだと、普通にクリスマスを浮かれて過ごしてしまってる二人の姿がそこにはあった。

IMGP7047_20170104201812760.jpg

そして散々食った後は、塾長としっぽりと飲みながら語り合う。

BBGのこと、ギアのこと、業界のこと、小屋のこと、釣りのこと、レタス農家のこと、養子のことetc…。

散々飲んで喋って、ガッと寝る。

そして翌朝どこも山登らないから、朝からコーヒー片手に11時くらいまでひたすらベシャリ続ける。

いつもタイムアタック登山で時間に追われ続けてた松尾と田沢に、人としての穏やかな心が戻っていった素敵な時間だった。

特にここ数ヶ月はBBGで何かと頭から煙出してアップアップしていただけに、とても貴重な木漏れ日タイムとなったのである。


こうして男塾聖地にて身も心もスッキリと禊の儀式を終えた松尾と田沢。

そして、そんな素敵な時間を提供してくれたこもれび山荘とお別れ。

IMGP7049.jpg

やはり塾生としての転換期はここを訪れずにはいられない。

次回訪れる時は我々が情熱大陸の取材を受けている時か、はたまた嫁とご両親に愛想を尽かされて旧姓に戻っている時か。

何にしても、頼り、落ち着けるという「帰れる場所」が南アにあるってだけで、我々は安心して前に進めるのである。

IMGP7051_20170105105055315.jpg

そこからは夢を語り合いながらの下山。

しかし夢を見すぎて足元を直視できなかった男がいる。

それがこの「水と思って沸かしたお湯でカップラーメン食ったら、いろはすの梨味だった」松尾鯛雄である。

IMGP7053_20170105105056ac6.jpg

塾長のエピソードを早速忠実に再現する忠誠心の塊のような男。

さすがは一号生筆頭、松尾鯛雄。

彼はその激甘カレーヌードルを食べながら「これで少しは塾長に近づけただろうか」と目を細めた。


その後は「事務所に置いて少しでも南アの息吹を感じたい」ってことで、良い感じの流木を集めながらの下山タイム。

モンゴリアン松尾が流木を持ってこの広大な河原を歩いている姿は、もはやナバホ族の狩人にしか見えない。

IMGP7058_20170105105050614.jpg

追いつかれたたちまち頭の皮を剥ぎ取られそうだ。


てな感じで、豪快にその長い区間のエピソードは割愛してゴール。

IMGP7060_2017010510505263d.jpg

これにて完全に「普通の社会人」にグッバイを遂げ、ここから生まれ変わって「遊び人アウトロー」の旅路が始まるのである。

実にいい感じで気持ちの転換ができた、つかの間の休息日でありました。


そしてここから帰宅してすぐに、ブログ上であの「BBG発表」&ティザーサイト公開という流れになったわけですね。

もうあとは前に進むのみ。

エスケープルートなんてございません。


我々の終わらない大縦走は


ここから始まるのであります。

記事が気に入ったら
股旅ベースを "いいね!"
Facebookで更新情報をお届け。

MATATABI BASE

関連記事

  1. ◉日々のツレヅレ

    カンムギ日記 5月編〜コロナvs俺vs貝 静かなる戦い〜

    怒涛の5月。ひたすらコロナと向き合い、戦った1ヶ月となった。い…

コメント

    • モリソン
    • 2017年 1月 09日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    只今、櫛田川を下って、松阪ホルモンを食し、帰宅の電車内です。パックラフトは酔いに任せアルパカをポチりましたが、ザックはカーゴ40、ドライスーツはパーム。上八川川、一之瀬川も下り、ギア共々ブログを参考にさせて頂きました!
    BBG楽しみにしています!

    • yukon780
    • 2017年 1月 09日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    モリソンさん、初めまして!
    この参考にならないブログを元にいろいろ遊んでくれているようで非常に嬉しいです。
    無駄な張栩文が邪魔して役に立つ情報になかなかたどり着けなかったと思いますが、BBGはシンプルにお役に立てるかと思います!
    櫛田川いいですねえ。
    あの川晴れた日に下ってみたいんですよね。
    まあ僕には夢のまた夢ですけど。
    そろそろ川行きたいなあ…。

    でもまあしばらくはBBGの作業頑張ります!どこぞの川でくたばってる赤いパームの男がいたら声かけてください!

    • びん
    • 2017年 1月 09日

    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    トップの画像の日付が2017.12.25になってる。

    • yukon780
    • 2017年 1月 09日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    WAO!
    少しの間1年ほどタイムスリップしてました。
    ご指摘ありがとうございます!ソッコー直しておきました!

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)




カテゴリー

アーカイブ

おすすめ記事

  1. イベント告知

    第1回 川の学校「カンムギ冒険教室」生徒募集!
  2. 富士山/静岡

    富士6苦フェス1〜マゾストーリーは突然に〜
  3. 常念〜大天井〜燕/長野

    常念山脈北上野郎1〜常念岳・涙そうそう編〜
  4. 屋久島横断野郎/鹿児島

    屋久島横断野郎〜プロローグ〜
  5. 五色ヶ原〜黒部ダム/富山

    五色ヶ原秘境おなべ隊 前編〜いざ浪漫秘境へ〜
PAGE TOP